ニコニコキリンジ 歴代マネージャーによるキリンジ話 書き起こし

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泰行脱退直前の、「Ten」発売記念特番「ニコニコキリンジ」からの書き起こしです。

 

ミズモトアキラ:まず初代マネージャーの山本れいみさん(98~02担当)からの話ですけど、泰行君・高樹君それぞれに対しての思い出を。

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泰行→シャツの畳み方が非常に上手い。ご両親の躾がちゃんとしてるんだなぁと感心してた。当時ヤスが携帯しか持ってなくて家の電話は無かったんだけど、一回だけ連絡が取れなくて電報を送った事がある。あと甲殻類が好き。すごい蟹が好きな印象。会う人会う人に物凄く気を使っていた気がする。
高樹→アイロンのかかったハンカチをいつも持ってた。バッグは肩掛けの印象。カレー好き。神保町に詳しい。マイペースだがノリで決めたりもする。あと、「理詰めでモテる」。恋愛話になった時、自分は今まで理詰めでモテたと主張してた。総じて、礼儀がちゃんとしててキチンとした兄弟なので非常に楽だった。

ミズモト:山本さんが関わってたのが丁度デビュー時。お二方(柴田・宮脇)に質問なんですけど、兄弟との初対面の印象は?
柴田やすし:96年だったと思うけど、高樹んとこに僕が連絡して、事務所の方に来てちょうだいよと。デモテープ聴いて。で、泰行も一緒に来てた。高樹は電話でも話してる相手なんで、キチンとした好青年という感じ。
ミズモト:社会人経験もあって。
柴田:でも眼鏡の奥にはキラリと光るものが当時からあって。ただ泰行は一言も喋らなかった。たぶん高樹に喋るなって言われたのか…まぁ言えない話は一杯あるんだけど(笑)
ミズモト:余計な事言うと将来に響くからとかいう指導が?
柴田:何かあったんでしょうね。当然泰行のデモも貰っていたけど。
ミズモト:良い悪いのザックリした印象は?
柴田:泰行は喋んないから、大人しいなーと思った。
ミズモト:でもバンドとしてはフロントマンになる。
柴田:歌ってるのは弟だけど、そん時は高樹がフロントマン。というかプレゼンしてきたのは高樹だから。デビューさせるつもりで会ったから面接的な雰囲気で、一緒にレコード聴いたりもした。Danny Kortchmarとか。
ミズモト:単純にイケると思いました?
柴田:好きだなと思った。曲が好みだし、詩も現代詩的な感じがして面白かった。正直詞の意味はよくわかんなかったけど、ニュータウンとかだったかな。ただ、よっぽど何か大きい事やりたいのかなって思う訳ですよ。ただのフォーピースのバンドとは違うと思って。だったらどういう事やりたいのかなっていうのを踏まえて、会って話をした。
ミズモト:で、宮脇さんはメジャー…。
宮脇秀有:メーカー決まってから。柴田さんに紹介してもらって、その時は宣伝担当ですね。まぁカチッとしてる子達だという印象はあった。服装からしてバンドマン然としてない感じっていうか。で、高樹は結構勝ち気な感じがした。
柴田:勝ち気っていうかピリピリしてる。
宮脇:でヤスは話しかけても、『何だろ…』って返事してそのままだったり(笑)
ミズモト:当時ワーナーのバンドが粒ぞろいだった気がするんですけど、その中でキリンジの位置づけとか売り出し方は?
宮脇:元々インディーズで名は広がってて。鳴り物入りっていう数字は付かないだろうけど、メーカーとしてこれリリースできたらかなり格好良いよねっていう。当時レーベルヘッドだった近藤さんとか名村さんとかがそういう雰囲気だった。だから担当できて嬉しかった。

 

ミズモト:といった初期の話が終わって、(二代目マネージャーはお亡くなりになっているので少し飛んでしまうけど、)三代目マネージャーの新保治くん(05~08担当)。
柴田コロムビアに移ってからですね。

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泰行→馬の骨の取材の帰りに二人で飲みに行って、ほろ酔い加減で饒舌になった頃合いに『折角ソロで活動できるんだから、リリース毎にユニット名変えてフットワーク軽くしたらどう?』と提案したところ、『いつも取材に立ち会っていて、どういう思いで俺が馬の骨って名前を付けたのか知っているのに、どうしてそんな事言うんですか!』と血相を変えて一万円札を置いて途中で帰ってしまった事があった。翌日和解したけどビックリした。
ミズモト:「僕この日イベントやってたんだけど、そこに現れるはずの無いヤスが現れてやたら飲んでるから、どうしたの?って聞いたら、実は新保君とこういう事があって…って言って朝方へべれけサンセットで帰っていった。
モリタタダシ:よく見るヤスですね。
柴田:この話は両方から聞いてる。多分ヤスは酒の影響もあると思う。最近では自制が効く様になってきたけど。
ミズモト:宮脇さんは酒の席での印象は?
宮脇:ライブ終わりで飲む時は、ヤスは確かに喋るし気も大きくなるし、高樹が横でジーっと見てる(笑)
高樹→几帳面。待ち合わせには10分前行動を心がけていたけど、そのさらに前に高樹が来てた。レコード会社に行くとたいてい大柄な人が先に待っていた。ヤスの到着時間が大体15分遅れなので、先に高樹を取材部屋に案内していた。だけど制作とかプロモーションが重なってくると稀に約束とかが飛んだり。特にひどかったのが、沖山さん(ベース)の結婚パーティー当日に姿を見せなくて、事故にでも遭ったんじゃないかと周囲が心配していた。高樹不在でのエイリアンズが喝采を浴びた式の終盤にやっと連絡が取れたと思ったら『あれ?パーティー明日じゃなかったっけ』といった事があった。
柴田:基本きっちりしてる人だけどたまにある。違う事考えてるんじゃないかな、詩の事とか。
ミズモト:二人ともあまり平行作業が得意なタイプでは無い気がする。
宮脇:そのパーティーで最後に歌ったのが民生さんかポルノかだったから、僕はあんま覚えてない(笑)

 

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ミズモト:四代目は佐藤聡さん(08~09担当)。
泰行→下町の某飲み屋へ泰行さんと一緒に行った時の事。案内してくれるはずだった常連の人が遅刻しちゃって先に入ったんだけど、マナーもわからず強面の店員に狼狽えていると、泰行が呪文の様にその店独特の用語で注文。驚いて聞いてみると、『ネットでがっつり予習してきた』との事。流石です。

 

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ミズモト:五代目は鈴木航太くん(09~11担当)。
泰行→朝が苦手。朝早く仕事がある時はモーニングメールを送っていたが、返事は空メールだった。

高樹→意外とおっちょこちょい。取材に1~2時間早く来てしまったり、日にちを間違えた事もあったらしい。

ミズモト:初期のライブはどうでした?
柴田:本人達は最初ライブはやりたくなかった、というか興味が無かった。でも当時多くのバンドがデビューしてて、中にはそんなに上手くないのも居て。レコードは良いんだけどライブ弱いねっていうタイプとか。でもライブって鍛錬だから、やっぱり最初からやっていった方が後々良いと思うよって話をして、とりあえず始めたという感じ。でも掘り起こして聴いてみると、意外とちゃんと演ってた。
宮脇:ヤスの声で引っ張って行って、レコードとは全然別物として十分魅力的だった。

(以上、多少端折り・改変ありです)